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4. 現在国際船舶社会が取り組むべき問題

4.1 船舶間データ交信に必要な更新率

IMOは船舶間で交信すべきデータを定めたがITU作業班8Bへの連絡文書には必要な更新率が定められていない。今後の検討のために同文書のコピーを付記6に添付する。船舶と陸上とのデータ交信のための要件に関しては別の国際海事団体、IALAのVTS委員会による作業が進行中である。

船舶間の自動データ交信機構を計画する目的でも、データが更新される速度を定める必要がある。現在までに下記が検討された。一つは現在のレーダー技術を基にしており、他の一つは連続DGNSS位置決定を基にし、第3は最悪の場合のシナリオとしてシンガポールとドーバー海峡の海上交通シナリオを基礎にしている。

4.1.1 連続DGNSS位置決定に基づく測定

狭隘な水路では、追跡、衝突回避及び遠隔水先案内の目的で約15メートルの精度で他の船舶の位置を知る必要がある。DGNSSで航行している場合の位置精度は約5メートルである。予測計算においてはこれは追加位置誤差が10メートル以下であることを意味する。針路を変えない船では必要な更新率は船の速度に依存し、下記の更新間隔となる:

巡航速度 更新間隔

O〜14ノット 12秒

14〜23ノット 6秒

>23ノット 3秒

船が針路を変える時にはもっと高い更新率が必要であり、要求される位置精度を基に3倍の高さの更新率を選択した。

4.1.2 シンガポールとドーバーについての容量計算

下記の計算は1990年以降の20海里の範囲内で予測される船舶数に関するシンガポールとドーバーへのアンケートに基づいて行った。シンガポールの回答では約300隻が停泊又は錨泊中で、60〜70隻の商船が航行中であった。

VTSトランスポンダは40海里以上の距離範囲を期待できる。それ故、推定船舶数は錨泊中が300、航行中が210隻である。この数字に更にフェリー、水先船、タグボート、労務用ボート、捜索・救助艇及び漁船約100隻が追加される。

上記の更新率を使用して計算した1分当たりの位置報告数を表1に示す。

 

表1

 

 

 

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